「その日俺は、熱が出たといって会社を休み、
名前も知らない女の子を連れ去った」
刑務所と公園に挟まれた寂れた道。
そこで、青年は女の子を連れ去る。
犯行の現場は誰にも見られていないし、
自宅には防音設備を施してある。
あとは、何事もなかったかのように過ごせばいいだけのはず、だった。
ところが、事件を取材していた雑誌記者の女に
女の子を連れ去ったのではと疑いをかけられてしまう。
なぜ目をつけられたのか。
まさか、すでにマークされているのか。
「あの日、どこで何をしていたの?」
疑心暗鬼に陥る青年を、彼女が尋問する。
しかも、それを職場の同僚の女に見られてしまった。
しかし、そんな事態とはうらはらに、
女の子はだんだんと青年に心を開くようになってくる。
このまま順調に行けば---
そう願う青年のもとに、同僚の女から一本の電話がかかってくる。
「明日、喫茶店で待ってます」
彼女には尋問されているところを見られている。
安易な行動はとれない。
---残された時間は少ない。