狂化実験3~狂った亡霊のアクメ遺伝子女体改造・最終章~
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作品紹介
「……ここか。
『竹中製薬第一研究所』という表札を確認し、目の前のコンクリートの建物を見上げる。
「もっと大きな研究所かと思っていたけど、案外寂れてるんだな……。
——ついに、ここまで来てしまった……。
複雑な思いが胸の中を去来する。
十数年間疑問に思っていた事が、ついに解決出来るかもしれないという期待感と、途方もない絶望感を味わうかもしれないという恐れ。
その手紙が届いたのは、数年間に渡って溜め込んできた、モヤモヤとした気持ちが爆発しそうになっていた時の事だった。
父さんがたまたま出かけていた時——無造作に、何通かの封筒が机の上に投げ置かれていたのを見つけたのだ。
『浅井和真様へ……。お久しぶりです。私たちのもとを去ったあなたにこうして手紙を書くのはルール違反だと思うのですが、どうかお許しください。
私たちは今、住み慣れた家を離れ、竹中製薬の研究所に身を置いています。
あなたもご存知の、竹中の興した会社です。
近況はさておき、あなたにお願いしたいことがあります。
誠司さん……毛利誠司のことです。
彼は齢80を越え、老衰のため体が日に日に弱っています。
多分もう……長くないのでしょう。
残される者のエゴかもしれないと分かってはいます。けれど、私は彼に、一日でも長く生きていて欲しい。
あの時、誠司さんとともに絵梨奈さんの研究をやり遂げたあなたならば、きっと彼を助ける術を見つけられるのではないかと思い、こうしてお手紙を差し上げました。
あなたと絵梨奈さんの人生をめちゃくちゃにしておいて、勝手なお願いかと思うのですが…。
どうか聞き届けてやってください。
もし少しでも話を聞こうと思うのならば、一週間後にここへ来てください。お待ちしています』
その手紙の中に見つけた、自分の母親の名前。顔すら知らない、僕を産んですぐに亡くなったという母親。
手紙の送り主は、母親のことを知っているに違いない……。
手紙をこっそりとボケットに忍ばせ、家を離れた僕は、狂気の体験をすることになるなんて、この時、思いもせずにいた……。
このタイトルは一般社団法人、コンピュータソフトウェア倫理寄稿の審査済タイトルです。
【ソフ倫受理済みタイトル】1800288M