脅迫3~遙かに響く光と影の淫哀歌~
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作品紹介
私の名前は、“沢音 遙(さわね はるか)”。
本名は“沢口 遙”で、“沢音”というのは芸名です。
「芸名」というのも、実は私アイドルをしているんです。
——アイドル歌手。
それは私の仕事であり、生き甲斐でもあったりします。
人気の程はというと、ようやく人気アイドルとして名前が挙がるくらいでしょうか?
今回のコンサートツアーも、大成功。
それもこれも、所属する“E+Sプロダクション(通称エスプロ)”の社長、
“宮本 正太郎(みやもと しょうたろう)”さんや
マネージャーの“相馬 亜矢乃(そうま あやの)”さん、
それに何よりファンの皆さんのおかげです。
温かい声援をくれるファンの皆さんや、学校の友達。
そして何よりも、私を見守ってくれている病気療養中のお母さんのためにも、
ますます頑張らないと!
そんな決意と意欲に燃えていた私のもとに、ある日とんでもない知らせが届きました。
それは「宮本社長が婦女暴●の容疑で逮捕された」というものだったんです。
社長の事をよく知る私達は「きっと何かの間違い」だと思いました。
ですが、アイドルとしての活動は自粛するしかありません。
そしていつまで経っても、活動を再開する目処すら立たなくて……。
「歌いたい。ステージに立って、ファンのみんなと一つになりたい」
そんな風に悶々とする日々の中、私にプロダクション移籍の誘いが持ちかけられました。
随分……迷いました。
でも、ファンの皆さんためにアイドルを続けるためには、移籍を受け入れざるを得なかったんです。
移籍先は大手プロダクションで、移籍の誘いをくださった“ミラーバーンズ プロダクション”。
そのミラーバーンズで私を待っていたのは、
社長である“加賀見 隆二(かがみ りゅうじ)”さんからの、新ユニット結成の言い渡しでした。
ユニットのメンバーは、私を含めた3名。
一人は、私と同じアイドル歌手で、私以上の人気を誇っていた、
“南雲 勇那(なぐも ゆうな)”さん。
そしてもう一人は、驚いたことに私のクラスメイトであって、お友達でもある
“山里 礼美(やまさと れみ)”ちゃん
(デビュー後は、安藤 レミと名乗る事になります)だったんです。
“NUDE LIPS(ヌード・リップス)”
そう命名された私達3人のユニット。
そのセンターという大役を命じられた私はこうして、決意を新たに出発することになりました。
でも、そんな私の身に悲劇が……。
ある日の帰宅時。
私は見知らぬ人達に眠らされ、そして何処かの地下室で純潔を奪われてしまったんです。
誰に相談する事も出来ずに、ただ耐えながらユニットのデビューに備える私。
でも私は知りませんでした。
その出来事なんか、悲劇のほんの始まりにしか過ぎないという事を。
後日の事。
「私にそっくりな女優の出演しているアダルトビデオが発売された」という事を、私は知りました。
嫌な予感に包まれながら、そのビデオ会社のサイトの商品紹介を確認してみると……。
「嘘……どうして、こん、な!」
良くある「有名人によく似た女優のAV」という体裁を装っているものの、
商品紹介の中に並んでいる写真は、紛れもなく“あの時”のもの。
私の知らない間にあの悪夢のような出来事が撮影されていて、しかもその映像が販売されたのです!!
私が愕然となっていると、ちょうどそこに加賀見社長からの呼び出しが。
ミラーバーンズの社長室で、そのAVを前に私を問い詰める加賀見社長。
混乱と、そして何よりも羞恥心に負けて、私は事実を説明出来ません。
そしてそんな私に告げられたのは「解雇」の言葉。
しかもビデオへの出演を含めて、全てを公表する……と。
私は目の前が真っ暗になって、立ちすくむだけ。
そんな私に加賀見社長が続けた言葉に、私は耳を疑いました。
「アダルトビデオに出演を続けるのならば、全てを伏せたまま、解雇も保留にしてやる」
このまま“よく似た女優”として、AVに出続ける。
それによって、世間に“よく似た女優”という認識をさせる。
現役のアイドルがアイドル業を続けながら、
AVにも出演するなどとは思わないだろうから。
もし拒否するなら、全てを公開して解雇処分。
さらには賠償金の請求も行う。
それが加賀見社長の言い分でした。
そんな事をすれば、ファンの人達や友達、それに何よりお母さんを裏切る事になってしまう。
かといって、公表してしまえば……。
怖かった。全てを失い、悲しませる事が。
その事を考えると、私は加賀見社長の言葉に従うしかありませんでした。
こうして私は、
アイドル歌手“沢音 遙”と
AV女優“ハルナ”という、
二つの名前と顔を持つ事になったのです……。
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