コイン5倍 姦白宣言
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作品紹介
──『園田財閥』。
園田一族が繁栄させ、国内で五大財閥と謳われるまでに成長を遂げた財閥の一つである。
戦後は他同様、財閥解体の道を辿ることとなったが 『園田財団』 という企業形態を新たに設立。
元財閥グループを再結成した園田財団は勢力を増し、戦前以上に経済を動かしてきた。
その園田財団の総帥・園田幸一郎が危篤に陥ったという悲報が届いた。
──いや、むしろ “吉報” といったほうが俺にとっては正しい。
現総帥が居なくなれば、その後継者が必要だ。 つまり、財団の実権を握り、地位・名誉・金のすべてを手に入れる機会が到来したのだ。
「──財団内ではすでに後継者を選抜する動きがあります」 園田総帥危篤の報を告げる俺の優秀な部下が、言葉を続けた。
「ククッ── まだ存命中だというのに、不義理な連中だな」 予測通りの動きに、思わず笑いが込み上げる。
同時に総帥選抜の候補者として名乗りを上げる者なども、手に取るように読める。
園田財団には “才能を持つ者は取り入れ、財団の力とする” という方針がある。
どんなに顔が利く人物であれ、力無き者は財団から振り落とされてしまうのだ。
この弱肉強食の世界で俺は異例の昇格を遂げていき、今では財団理事を務めていた。
「フッ、丁度いい―― そろそろ新しい椅子が欲しいと思っていたところだ」
「フフッ、やはりいつもの藤堂理事です」
ニヤリと笑みを浮かべる俺の顔を見て、部下がうっすらと楽しげな表情を見せた。
「そういえば、総帥不在の間は娘さんが代理人となるそうです」
「ほう」 総帥の娘か── 財団のパーティなどで見かけたことがあるな。確かまだ学生だったと聞いていたが……。
あの女が代理人ならば、利用しない手はない。
「よし。後継者選抜に参加するために、まずはその総帥代理人に挨拶をしにいこうか」
部下を連れ、俺は部屋を後にした──。