僕と母さん———神尾秋紘と神尾夏子は幸せに暮らしてきた。
狭いアパートで二人、裕福ではなかったけど、僕らは寄り添うように生きていた。幼い頃に父親を亡くして、母さんは女手ひとつで育ててくれた。自分がやりたいこともあったはずなのに、全てにおいて僕を優先してくれた。
優しくて、厳しくて、ハキハキしてて、とっても綺麗な、僕の自慢の母さん。僕だけの母さんだった……はずなのに……。少しずつ、幸せだった生活は崩壊していく……。
僕が世界で一番大嫌いな同級生———江口一哉のせいで。
厚かましくて、ガサツで、暴力的で……。僕の持っているものを、大切なものを……軽い気持ちで奪っていく……。自己中心的なアイツは、他人の事なんて何も考えていない……。女性のことなんて……性処理の道具としか思っていないような……。
そんな最低なアイツと出逢ってしまった母さん……。
僕の知らないところで少しずつ変わっていく……。
秋紘を、厳しくも優しく大事に育ててきた。息子のことを溺愛しており、自分の命よりも大事といってはばからない。
現在はパート勤めをして、家計を支えている。 明るくハキハキとしており面倒見もいいので、上司にも同僚にも慕われている。最近は、ちょっとたるんできたお腹周りが悩みの種。
大人しく身体の線も細い秋紘が、自分の頼みを断ることなどあり得ないと考えている。散々遊んできたので女の扱いには慣れており、ひょんなことから出逢った夏子と関係を深めていく……。